サイバー犯罪捜査入門(捜査応用編)¶
概要¶
サイバー犯罪について記した書籍。書いた人は検察官。対象は特にITの知識に深いわけでもない人
一般の警察官を中心とした法執行機関の方々が、肩の凝らない読みやすい平易な内容となるように心がけ、ハイテク犯罪の捜査・公判における基本的知識、特有の事項、捜査手法、証拠化や立証方法などについて、分かりやすく具体的に説明したつもりである。
検察官が記した
(「はじめに」より引用)
感想¶
書籍について¶
サイバー犯罪の解説書というよりは、警察・検察の視点が気になって思わず購入。
文体は若干人を選ぶかもしれない。なんというか、少しネットのノリが入っている。そこだけ独特に感じる。
確かに技術的なところをかなり端折って平易になっていたり、分かりやすい例を選んできていて門外漢にも読みやすいのかな。
面白かったところ¶
技術的なところはまぁおいておいて、司法特有の報告書の「書き方」の例があったり、「一般人ではなく、一般の捜査官」を対象としている箇所が個人的には面白かった。
ACCS事件という実際の事件・判例をもとにして、司法の人たちが注目する部分(?)が書かれている。この事件、不正アクセス防止法が争点なので裁判がどう進むかっていうのが見られて良かった。
当然ながら独特の世界があるんだけど、この事件は「事実認定」を争っていないらしく、司法的なところは比較的軽いのかなと予想。技術者向けの裁判の入門(?)として面白かった。
捜査官向けに「こういう資料は押収するといいよ」とか「こういう風に調べるんだよ」という内容がのっている。
技術者視点で見ると、万一に備えて開発者が作っておかなきゃならないところ、管理者が記録しておくべき内容が書かれているとも言えるのかな。
基本はアクセスログ、ユーザーやデバイスの認証・利用権限についてよく書かれていた。ここら辺をきちんとしておかないと社会的に不味いんだなぁとよくわかる。
事件の例も色々とのっていて、正面からセキュリティを突破されるよりは内部犯が多いよという注意がされている。やっぱりという印象だけど、検察官がいうと違うなぁ。
もっとも、正面から破っているやつらは凄腕過ぎて誰も気づいていないのかもしれないけど…。
書籍情報¶
ISBNコード:
- SBN-10: 480901245X
- ISBN-13: 978-4809012457